なし ジョギングしながら若者と死者を考える
たまに変な夢を見る。
なんでか知らんけど走ってて、走ってるけどうまく進まない。地面と足の摩擦があんまりなくて、ツルツル滑って、気持ち悪くて、怖い。その夢を見る時は、ジョギングを長い間しなかったときや。
人間はたまには走らないとあかんのかなぁ。「走らないとあかん!」と思って走るわけじゃないけど、と思いながら今日も走った。
俺が走るのはいつも夕方や。今の時期涼しくていいし、夕焼けとか、雰囲気がいい。
走ってると、薄暗いのに本を読んでる高校生ぐらいの人がいた。そのすぐそばには、10人ぐらいの大学生ぐらいの人たちがバーベキューをして騒いでた。
俺のジョギングコースは河川敷公園で、休みの日なんかはバーベキューをしてる人がよくいる。若者はたいてい大声で騒いでる。
若者はよく騒ぐなぁ、俺も若者やけど。それに、おとなしく読書してるような若者もいるか。まぁいろんな人がいるな。
そう思いながら、騒いでるのがちょっとうらやましい気もした。でも俺がああいう中に入るのは面倒な気もする。
しばらく走るとボコボコの車があった。タイヤはとられていて、窓ガラスは割られてて、車内にはガラクタだらけ。
その場所にはいつもそんな車がある。1週間ぐらい前に見た時、「きれいに片付いたな」と思ったとこやったんやけど、もうそんな車があった。きっと暴走族みたいなのがやったんやろう。
ほんまに若者は騒ぐなぁ、と思った。静かに読書してる人がいるのをさっき見たのに、「若者は」ってそらおかしい。
なんで若者は騒ぐんやろう?と考えてみた。「若者は」っておかしいのに。
なぜ騒ぐか?って、そりゃ騒ぎたいからや。ってことは、じっとしたくない、ってことや。当たり前やけど。
小さい子どもはじっとしてられなくて、すぐチョロチョロする。レストランなんかで、お子様ランチを食べ終わった子どもがチョロチョロ動くから、「じっとしてなさい!」と言われて、しばらくじっとしててもすぐまたチョロチョロしたりする。
それに比べて大人はおとなしい。ピッチリするのが大人なんやろう。酒を飲んだら変わる人もいるやろうけど。あと、合法的におとなしく?大量に人殺しをするようなたちの悪い大人もいるか。とにかく、おとなしく振舞うのが大人や。
若者は、子どもと大人の間や。チョロチョロしたいんやけど、そろそろピッチリしないとあかんと知っている。
だから、バネをギュッと縮めるみたいに、騒ぎたい気持ちをギュッと押し込めて、じっとおとなしくしてる。けど、まだうまい押し込め方がよく分からなくて、押し込めた力をパッと離すと、バネがビョーンと伸びる。
バネを縮めたり伸ばしたりしてるうちに、うまい力加減を学んで大人になっていくんやろう。それとも、押し込めないのが大人なんかな。バネは押さなければ反発もない。
(追加→押す力が強いのが大人かな。押し込めないのは老賢者かな。)
この車は、反発力の強すぎるバネに壊されたんかな。それだけ押し込める力も強かったんかな。なんとなくボコボコにした人たちの気持ちが分かる気もする。
それにしてもこんなボコボコにしたらあかん。
と考えながら、疲れたからジョギングはやめて、散歩にした。折り返して、来た道を帰る。
しばらく歩いていると横にお墓がある。この時期はお墓で肝試しをするような人もいるらしいけど、俺は小さい時からお墓は全然怖くない。それよりも、落ち着く。
お墓って、死者の魂がいる場所や。魂ってなんや?って、それはよく分からんけど、まぁ気持ちの問題やろう。とにかくお墓は、死者の住む場所や。
死者には、苦しみも悲しみもない。それは良いけど、喜びや楽しみもない。喜怒哀楽の山あり谷ありが人生の面白い所やろうけど、そればっかりじゃ疲れる。たまには平坦で何もない場所もいい。死者たちのいるお墓は、そういう場所や。
と言うけど、元々落ち着いた雰囲気が好きなだけで、意味を後付けした、ってことかもしれない。
と、お墓の反対側の、騒ぐ若者たちを見ながら思った。
やっぱり、ちょっとうらやましい気もする。